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2022/08/07 19:46



みんなの、「自分には関係ないから」という気持ちが原因で、いまこんな状況になっているんだよねってことが
世の中には結構あると思う。


わたしには関係ない
が引き起こす、そのあとのこと。



思い出すのは高校時代の夏服のことだ。

わたしが入学した高校は、制服がとてもかわいかった。
田舎の公立高校には珍しい色のブレザーに白いシャツ、えんじ色のリボン、茶系のチェックのスカート。夏服は真っ白いシャツにえんじのリボンが映えてとても可愛らしい。見学に行ったときにも、可愛いなと思っていた。

制服で高校を選んだわけではないけど、この高校に入りたいなという要素のひとつにはなった。                                                                                       

入学前
制服を購入するための採寸などをする日に学校へ行き、衝撃を受ける。



「みなさんの入学する年度から、夏服がこちらに変わりました。」



薄いブルーの半袖の、厚手のコットン地のシャツ..                                         
ポケットとかに紺色のラインが入っていて、なんというか、文章でイメージを伝えると警備員の仕事服を思わせるシャツだった。憧れの高校の制服というより、どこかの会社の仕事着という感じ。


後から知ったのだけど、夏服が変わった理由は在校生のアンケート結果を反映したものだったようで、

要するにわたしたちの前にどこかのタイミングで在校していた先輩たちがどこかのタイミングで記入したアンケートの結果によってこの制服が採用されたという。


見た目だけの問題ではなくて、その新しい夏服は厚手ゆえ通気性がいいわけでもないし、洗濯後の乾きも良くない。
冬服のシャツとして併用できないし(冬は白シャツだった)、少し肌寒いときにも半袖仕様のみなので寒いし、暑い日は暑い日で薄いブルーに汗が染みるのが気になった。


アンケートの結果によって、いい方向に変えていく 

そういうのならよかったしそうしたかったんだろうけど、この夏服が変わった背景はそういうことじゃないような気がした。

自分たちには関係ない、のちに入って来る子たちが着る夏服のことなんて知らないよー、結局はそういう考えが集計された結果だったのだと思う。

在学中、夏服嫌だなぁ はやく冬服の期間にならないかなぁと思いながら3度の季節を過ごし、高校3年生のある時期に例のアンケートが配られた。

これかー..。

3年間、警備服を着ることになった同学年のみんなの反応をよく覚えている。

「わたしたちが変な夏服になったんだから、別にこのままでいいよね。」「もう関係ないし、どうでもいい」「適当に書くわ」


これが、「自分には関係ない」が引き起こす恐ろしい部分だと思う。

負の連鎖。
この様子だと、通気性&乾きの悪い夏服が改善されることはしばらくないのでは..と思った。

自分たちが嫌だったから戻してあげたい・変わるといいなと思っている生徒も中にはもちろんいたのだけど、明らかに少数派だったと思う。
たぶん人生で初めて(?)経験した理不尽さ。会ったこともない先輩に適当に決められたという、行き場のない気持ち。自分で選んだわけではないのになぁとか。

続いていくであろうそのマイナススパイラルが怖いと思った。



たかが高校の夏服の話しだったらまだいいのだけど、こういうことって世の中にたくさんあると思う。
だからこの夏服のことをわたしはよく思い出す。



もし自分には関係ないと思うことがあったとして、果たしてそれは本当の本当の本当に自分には関係ないことなのかなって
自分だけよければいいのかなとか
一度イメージを膨らませてみると、世の中がもう少し良くなるのではないかなと思うときがある。




かわいいなーと憧れていた夏服が着られなかったから、その後めくるめく古着の世界に飛び込んで自由にすきなものを着ようとおもった可能性だってあるじゃない?だとしたら、あのなんとも言えない味わいの理不尽さがひとの人生を変えてしまってるかもしれないじゃない?いや、ぜーったいそれはないけど、



結局何が言いたいかというと、あの薄いブルーは、あの茶系のチェックのスカートには合わないのよ。




shiki